今週は、飲食店関連の本を読みたいなと思い手にした一冊。
優しい語り口に引き込まれていきます。
本屋さんでの楽しい出会い
今ではネットで簡単になんでも買える時代。送料無料で重たい本を玄関まで運んでくれる、もう当たり前ですよね。ランキングを見れば何が人気なのかはすぐわかりますし、親切なレビュアーさんの投稿を読めば、買うか買わないかの判断材料にもなったりします。
でも、本屋さんをブラブラしながら、インスピレーションの合う本を探すのも、やっぱり楽しいです。有名で既に知っている本などを買うのとは違って、「何かおもしろそうなのないかなぁ。」と物色して、そこに思わぬ出会いがあると、なんだか嬉しくなります。
この本も本屋さんをブラブラしながら、「あと一冊は飲食関連で何かないかなぁ?」と思っていた中で出会いました。新刊で目立っていたこともありますが、バーのマスターって色々と知ってて面白そうだし、ワインもあるバーみたいなので買う決め手になりました(笑)。
”バーのマスターは、「おかわり」をすすめない 飲食店経営がいつだってこんなに楽しい理由”
副題も入ってますが、なかなかに長い題名ですね。
題名にあるように「おかわり」をすすめる?すすめない?にまつわる話など、バーでの様々な出来事や著者の思い、バーの粋な使い方、飲食店の方のQ&Aなど、とても優しい語り口でほんわかした気分にさせてくれます。
なじみのお店っていいですよね
「バー」って、よく「行きつけのバー」って言い方しますよね。
居酒屋とかレストランでも行きつけはあるとは思いますが、一番しっくりくるのが「行きつけのバー」。
そこそこの年齢になってくると、お酒を嗜むものとして、そういうお店の1軒や2軒は持っていたいなと思うものです。
バーカウンター越しにマスターと落ち着いて喋れる空間って、やっぱり大人の世界ですから。私もそんな感じに通えるワインバーが出来てきたので、ちょっとええ大人になってきているのかも知れません(笑)。
まあ、バーに限らずですけど「なじみの店」って、みなさんもお持ちだと思います。
そういう風に思えるお店って、普通のお店と何が違うんでしょうねぇ?
家から近い、食べたいモノがある、コストパフォーマンスがいいなど、色々な要素は絡んでるのは事実ですが、最終的にはなんか「人」に惹かれて自然と足が向いている気がします。
会って顔を見ただけで元気をくれる店員さん、いつも欲しいと思っていたアイテムを進めてくれるセンスのいい店員さん、ゆったりまったり話をきいてくれるバーのマスターなどなど。
買い物をしたり、お食事をしに行ってるんですけど、半分その人に会いにいってるような感じのお店、そういうお店がだんだん「なじみの店」になっていくんだろうなぁ、と。
みんな誰かの人生に参加している
様々な切り口で語られるエピソードの中で、最も印象に残ったのが次のフレーズでした。
お店に立つということは誰かの人生に参加しているということなんです。
著者が若かりし頃に訪れた喫茶店のオーナーとの出会い。すごく気に入った喫茶店でも訪れたのは2回だけ。でもその数少ない出会いの中に、永遠の思い出になるようなことがあるという事実。
バーのマスターって、いろんなお客さんの話を聞き、背中をそっと押して送り出していってくれる、正にお客さんの人生に影響を与えているわけです。
著者のお店でも、カップルになって結婚したお客さんがいたり、事業を興したお客さんがいたり、というエピソードが語られています。
でも、これってバーのマスターの話だけではなくて、誰しも同じだよなぁ、と思ったのです。プライベートでも仕事でも、色々な人と関わりながら、みんな生きています。
人は一人では生きていけないですよね。
自分が影響を受けたりもするし、逆に他人に影響を与えていたりもする。
その中には良い影響もあり、悪い影響もある。
自分で良いと思った関わり方が、相手にとっては良くないこともあるかも知れない。
今、自分の周りにいる家族、親、仕事関係者、友達など身近な人たちの顔を思い浮かべてみました。自分の言葉や行動が、そういった人達の人生を変えるかもしれない(変えてきたかもしれない)と考えると、しっかり生きないとあかんなぁ、とつくづく思います。
自分の人生を生きながらも、必然的に自分の周りの人生にも参加しているのですから。
ほっこりとした優しい語り口の中に、人と人との触れ合いがしっかりと詰められた本です。
東京に行った時には、著者のお店「bar bossa(バールボッサ)」に訪れて、ワイングラスを傾けながら、話してみたい気持ちになりました。
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【編集後記】
明日からは三連休です。やっぱり連休は嬉しいですよね!
美味しいワインが飲みたいなぁ(笑)。
【昨日の一日一新】
・インドの青鬼
・CAPTAIN CROW