フリーランスの方は、確定申告に向けて経理作業が進んでいる頃でしょうか。
初心者でもわかる、必須チェックポイントをご紹介します!
発生主義、棚卸、減価償却、青色申告の特典などなど
発生主義
経理業務として会計ソフトに記帳やエクセルでの集計をしていると、
通帳の入力(取込)、領収書の入力(取込)などは必ず必要な作業です。
ただし、通帳、領収書を処理するだけでは、現金主義での集計に過ぎません。
現金主義では正しい1年間の数字は、税務的には算出できていないのです。
というのは、正しい会計処理というのは、
発生主義により行うことが定められているからです。
(※個人事業主で一定の条件のもと、届出書提出者には現金主義の特例が認められます。)
例えば、売上の場合。
平成28年分の決算書に上がってこないといけない売上は、
平成28年1月~12月に請求したものになります。
末締め、翌月末入金の場合は平成29年1月末に入金のあったものも、
平成28年分の申告の売上に上がっていないといけません。
売上の入金時期ではないので注意してください。
一方、仕入原価や販売経費についても同様です。
平成28年1月~12月に請求があったものが経費になります。
クレジットカードなどは、使った日と引き落とされる日が違いますよね。
12月分の請求書が届くのも1月に入ってからです。
これらも平成28年分の経費になりますので、漏れのないようにしましょう。
逆に、前払いのものは経費になりません。
1月の出張経費などを、先に12月中に支払ったとしても
平成28年分の経費にはなりません。
出張を実際に行った平成29年分の経費になります。
前払いの経費で代表的なものに、事務所等の家賃の支払があります。
これも前払費用とするのが原則ですが、例外的に支払時に経費にしても大丈夫です。
短期前払費用の特例というものがあります。
詳細記事は下記を参照してみてください。
在庫の棚卸
商品販売など、仕入が発生する場合には在庫商品の棚卸が必要です。
発生主義で12月に請求された仕入を計上しているだけでは、まだ不十分なのです。
<売上⇔売上原価>
売上に対応するものが、売上原価といいますが、
売上原価とは、仕入れたもののうち売り上げたものに対応する部分を言います。
つまりは、平成28年中に仕入たものでも、
平成28年12月31日に売れていないものは、
在庫として認識し、経費にならないように処理する必要があります。
この作業を棚卸といいます。
〇期首在庫…100
〇期中仕入…2,000
〇期末在庫…250
上記のような場合、経費になるのは2,000ではありません。
100+2,000-250=1,850
この1,850が経費になり、売上原価と呼ばれることになります。
節税のために12月に多額の仕入れを起こしても
年内に売れていなければ意味はありません。
注意しましょう。
減価償却
平成28年中に請求がきた(支払った)からといって、
必ずその年中の経費になるわけではありません。
設備投資等の資産の購入など金額の大きなものは、
一時の経費にならないことがあります。
原則としては、一つの資産(使用する1単位毎)が10万円(※)を超えると、
経費ではなく資産(器具備品、車両等)として計上し、
減価償却費として少しずつ経費化していきます。
((※)青色申告者の特典として、30万未満は経費処理が可能です。)
個人事業主は基本的には定額法により
下記の計算式により、減価償却を行います。
取得価額×耐用年数に対応する定額法の償却率×その年に業務に供された月数/12
金額の大きな資産は、その効果が何年にもわたると考えます。
ですので、国が定めた法定耐用年数にのっとって、
経年劣化分を減価償却費として経費計上していくことになります。
青色申告の特典
青色申告していると、決算書作成上も特典があります。
貸倒引当金というものが設定可能です。
売掛金等の売上債権について、貸し倒れリスク等にそなえるため、
税務上認められているものです。
12月31日時点における金銭債権の帳簿価額の5.5%を
貸倒引当金繰入額として経費にすることができます。
ただし、翌年はこの金額を繰り戻しした上で、
翌年の12月31日時点における新たな貸倒引当金繰入額を設定します。
また、青色申告者は資産計上の判定でも、特典があります。
通常は10万円超の資産は減価償却の対象ですが、
青色申告者は30万円未満までは、一時に経費処理可能です。
年間の限度額が合計300万円と決められてはいますが、
減価償却よりは早くに経費にすることができます。
最後に、青色申告の特典として大きいものが青色申告特別控除です。
複式簿記にのっとって、きちんと経理しており(会計ソフトなどの入力でOK)、
帳簿書類の保存をしておけば、65万円の控除が受けられます。
きちんと経理しておけば、アメがあるということです。
キャッシュアウトのない経費として、国が65万円を認めてくれています。
非常に大きい特典ですので、活用しない手はありません。
青色申告の特典の詳細については、下記の記事も参照してみてください。
領収書があっても(口座から引き落とされていても)、生活費は経費NG!家事消費は売上に計上が必要!
個人事業主は、事業的な部分とプライベートな部分が同居しています。
経費になるのは事業に係るものに限定されます。
領収書があるから(口座から引き落とされているから)といって、
なんでも経費にしてはいけません。
誤りそうな事例として、例えば保険料の支払。
通帳から引き落とされている保険料を
何も考えずに経費にしていませんか?
事務所や工場、事業用車両に係る保険料は経費になりますが、
自宅や自家用車に係るものは生活費なので経費NGです。
兼用の場合は合理的な事業割合(使用頻度等)を勘案して、
事業割合分だけ経費にすることが可能です。
また、生命保険は個人事業主では全く経費になりません。
法人とは異なりますので注意しましょう。
その代わり、生命保険料控除という所得控除として、
一部税金を安くしてくれる規定はあります。
飲食代などの接待交際費、電話代などの通信費、
ガソリン代などの旅費交通費、水道光熱費等々、
全てにおいて、経費になるのは事業に直接該当するものだけです。
また、事業用の棚卸資産を生活用として消費した場合には、
家事消費分として売上計上が必要です。
何もしなければ、経費だけが計上される形になるためです。
仕入金額か通常の販売価額の70%相当額いずれか大きい方を、
家事消費として売上計上する必要があります。
事業用とプライベート用、兼用しているもの等、
しっかり区別しておきましょう。
最後にチェックしてみましょう!
・平成28年中請求、平成29年入金のものの売上計上。
・平成28年中請求、平成29年支払のものを仕入計上。
・12月31日時点の在庫を計上し、正しい売上原価の算出。
・平成28年中請求、平成29年支払の経費の未払計上。
・前払いの経費のうち、平成29年分の前払費用処理。
・消耗品費等の経費のうち、10万超又は30万超は資産計上、減価償却費処理。
・青色申告者は、貸倒引当金の繰入計上(繰り戻しも含めて)。
・青色申告者は、青色申告特別控除の適用。
・全ての経費につき、生活費が含まれていないかの確認。
・事業用棚卸資産につき家事のために消費使用した場合は、家事消費の売上計上。
正しい決算書の作成は、正しい事業状況の把握にもつながります。
集計しっぱなし、入力しっぱなしにならないように、
上記のチェックを参考にして、決算書を作成してみてください。
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【編集後記】
今日は節分ですね。
晩は毎年恒例、実家のお手製の巻きずしをいただきます。
シャンパーニュを合わせるつもりですが、
冷やし忘れてセラーのまんまなのを、今思い出しました。。。
帰ったら速攻冷蔵庫に入れなければ(苦笑)。
【昨日の一日一新】
・韓国ふりかけ ジャバン海苔