本日はボルドーの赤。
サン・テステフ村のシャトー・ド・コムをご紹介。
サン・テステフ
サン・テステフは、ボルドーの左岸、
オー・メドック地区の一番北側の村にあるAOCです。
南には、ポイヤック、サン・ジュリアンと続いていきます。
すぐ南のポイヤックに1級シャトーが集まっているため、
幾分地味な印象のサン・テステフ。
とは言え、シャトー・モンローズ、シャトー・コス・デス・トゥルネルという
二つの有名2級シャトーがあり、ハートのマークで有名な3級シャトー・カロン・セギュールも
このサン・テステフです。
オー・メドック地区では、最も大西洋に近い場所のため、
海からの涼しい風が酸味をもたらします。
砂利が多く石灰岩土壌のオー・メドック地区の中では、
粘土質土壌の地域が見られるのが特徴で、メルローの比率が高い地域です。
ワインは色も濃くどっしりしたタイプが多く、粘土質土壌由来の
土っぽさを感じるものもあります。
メルローの割合が多いため、しっとりした質感を持ち、
しっかりした果実味を感じることができます。
シャトー・ド・コム
1997年、現在のオーナーであるバロン・モーリス・ヴェルジェが、
シャトーを購入。
2003年からは、ジョセ・ブエノを醸造責任者に迎えています。
このジョセ・ブエノは、17年間ムートン・ロートシルトで、
セラーマスターとして勤めていた人物。
その後、クレール・ミロンやダルマイヤック等で6年間
セラーマスターを歴任しています。
いくつかに分かれているブドウ畑は、モンローズ、コス・デス・トゥルネル、
カロン・セギュールなどと隣接している好立地です。
造られるワインは、カベルネ・ソーヴィニヨン50%、メルロー50%の
アッサンブラージュ。
格付けワインではありませんが、
姉妹シャトーのシャトー・クラウゼとともに、
近年、評価が高まっているシャトーです。
程よく滑らか、後半は果実味がどんどん開いていく
グラスに注いだ色合いは、ガーネット色のメルローっぽい感じ。
カベルネ・ソーヴィニヨンの紫の漆黒感よりは、柔らかい印象。
少し土っぽいニュアンスを含みながらも、
プルーン、カシス系の香りと共に、幾分酸味のニュアンスがある香り。
口に含むと、口当たりは程よく滑らか。
どっしり感と共に、果実味がしっかり詰まっている濃厚さを感じます。
時間が経つにつれて、香り、味わいともに甘みが全面に広がっていきます。
最初の頃の酸味、果実味、タンニンのバランスとは違い、
より派手で華やかな印象に変化していきました。
メルローの果実味がより顕著になる後半は、やや飲み疲れる感じも。
前半の方が、品やバランスはクラシカルな印象でした。
2010年というヴィンテージらしく、しっかり熟したブドウのパワーが
感じられる仕上がり。
サン・テステフらしい果実味を味わうことができる一本です。
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【編集後記】
シャトー・ド・コムは、ネット上でもあまり見かけないかも知れないですね。
アマゾンで検索しても、出てくるのはシャトー・ド・サン・コムばっかりでした(笑)。
あちらはボルドーではなくコート・デュ・ローヌの有名どころです。
【昨日の一日一新】
・とある郷土料理屋さん