給与の支払者は源泉徴収義務があります。
給与の金額が少ないからと言って、誰でも源泉しなくてよいわけではないんです。
月額88,000未満の場合の源泉ゼロは甲欄のハナシ
月額8万円くらいまでの給与だと、源泉引かなくてよいというのはご存知かと思います。
ちゃんと源泉徴収税額表にも載っています。
88,000円未満は源泉徴収税額0と。
で、これは「甲欄」の人の場合です。
扶養人数が記載された欄の上の方に、「甲」という文字が見えるかと思います。
この甲欄の人とはどんな方かと言うと、みなさんおなじみの
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出している方ということになります。
※マーカーは、平成28年分からマイナンバーの記載がある部分です。
マイナンバーについては、こちらの記事をどうぞ!
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書、毎年めんどくさいと思いながらも
みなさん書いてらっしゃることと思います。
これを書いてない人には、厳密には甲欄での源泉徴収をしてはならないことになります。
会社が給与計算をする上で、きちんと提出してもらう必要がある大切な書類なのです。
また、この給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の提出ですが、
主たる給与の支払者にしか提出することはできません。
2カ所で勤務をしており、両方から給与の支払いを受けている方は、
どちらか片方(メイン)にしか提出できないのです。
乙欄は源泉徴収必須です
では、メインでない会社(いわゆる従たる給与の支払者)が給与を支払った場合、
源泉徴収は甲欄で行ってはいけないことになります。
甲欄の右横に、「乙」という文字が見えるかと思います。
2カ所目のメインではない場合は、こちらの乙欄で源泉徴収する必要があります。
88,000円未満の欄には、金額ではなく説明書きがあり、
3.063%の所得税(復興特別所得税を含みます)を徴収する旨が
記されています(88,000円以上は金額が段階的に記されています)。
つまり、2カ所目の給与の支払いを受けた場合には、
給与の支払金額がいくらであっても、源泉徴収されていなければおかしいわけです。
源泉徴収とは、給与所得者(サラリーマン)が確定申告をしなくてもいいように、
また国ができる限り早い段階で税金を捕捉できるように行われている制度です。
ある程度概算で徴収し、年末調整で精算することによって、サラリーマンの
確定申告の負担を軽減しています(税務署の負担も軽減されています。)。
源泉徴収と年末調整はセットみたいなもんです。
年末調整は、年末のその年最後の給与の支給の段階において、
年収が確定するから行える制度です。
メインの会社で年末調整を行ったとしても、それは年収の一部での仮確定状態です。
そこに二カ所目の給与が加算されるわけですから、源泉徴収も乙欄として、
支給金額いかんによらず源泉徴収する形になっているのです。
最終的に二カ所から給与の支給を受けている人は、原則として確定申告が必要です。
普通は、「年末調整済の甲欄の源泉徴収票」と「年末調整未済の乙欄の源泉徴収票」の2枚で
確定申告をすることになります(一定の場合には例外があります)。
源泉徴収を誤ると年末調整の間違いも。。。
甲欄と乙欄、それぞれ意味があって源泉徴収の仕方も変わってきます。
ですから、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出してもらう際には、
会社の方でも、きっちりと説明をした上で従業員に記載してもらう必要があります。
どこでもかしこでも給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出なんてことがあると、
誤った源泉徴収のもと、当然正しい年末調整が行えません。
「両方の会社で年末調整してもらってます。」なんて笑えない話ですから。。。
給与の支払者は、源泉徴収義務者であると同時に、
年末調整によりサラリーマンの課税関係を完結させる立場にあります。
正しい資料が提出され、きちんと源泉徴収・年末調整が行えるよう、
しっかり準備をしておきましょう。
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【編集後記】
今日はきれいな晴れた空、太陽の日差しが暖かな一日でした。
昨日までは冬の早過ぎる到来をひしひしと感じていたので、
ちょっとホッとしました。
【昨日の一日一新】
・いつもと違う経路で出勤