ゴッセのセレブリス。
哲学がつまったシャンパーニュです。
ゴッセ
ピエール・ゴッセにより1584年アイ村に設立されたメゾンは、
シャンパーニュ地区で最も古い歴史を持つものの一つです。
400年以上にわたり伝統を守り続けている老舗小規模メゾン。
現在の醸造責任者は、ジャン・ピエール・マレネ。
30年以上もゴッセの要職に就き続けています。
2014年に来日する際に、初めてパスポートを取得する等、
世界的な大規模メゾンの醸造責任者とは明らかに異なる趣。
常に、アイ村でシャンパーニュと向き合いワイン造りに没頭する職人です。
特徴的なのは、マロラクティック発酵を行わないこと。
(エクセレンス・ブリュットのみマロラクティック発酵を行っています。)
マロラクティック発酵とは、乳酸菌の働きによって、
ワインのリンゴ酸を乳酸に変える発酵作用。
酸味がまろやかになり、バターの様な風味がつくと言われています。
ジャン・ピエール・マレネは、ブドウ本来の味わいを大切に考えており、
マロラクティック発酵をせず、軽やかな果実味とフレッシュなリンゴ酸を
保とうとしています。
必然的に熟成に時間は要するものの、
本来のシャンパーニュのあるべき姿がそこにあるという信念が、
しっかりと横たわっています。
セレブリス・エクストラ・ブリュット
セレブリスは、個性的なグラン・クリュのブドウで造られる特別キュヴェ。
アッサンブラージュは、シャルドネ52%、ピノ・ノワール48%。
「アイ」「シュイイ」「ブジー」「ヴェルジー」「クラマン」等、
10の村のグラン・クリュのブドウが使われます。
特に2002年は、”異なる個性をぶつけることで新たに生れる世界観”
を意識して造られています。
瓶内熟成は驚異の120カ月!!
シャンパーニュの法定瓶内熟成期間は、ノンヴィンテージで15カ月。
ミレジメでも36カ月なので、セレブリスの120カ月は驚異的です。
アントニオ・ガッローニが2015年秋に試飲したシャンパーニュの評価を、
ヴィノスに発表しています。
ゴッセのセレブリス・エクストラ・ブリュットは、
並み居る強豪を抑え、96点で1位を獲得しています。
蜜感、ふくよかさ、酸のバランスが極めて秀逸
グラスに注がれたセレブリス2002は、
色合いはしっかり目の黄金色、良い香りが漂います。
蜜感の感じるナッティーな芳香、
色合いの通りしっかりとした味が想像されます。
きめ細やかな泡が立ち上る中、
一口、口に含むと程よいリンゴ感と共にうま味が口の中に広がります。
ふくよかな質感を感じながらも、酸によるスッキリ感を根底に感じます。
酸はきつくなく、長い瓶熟成によりこなれており、
芳醇なうま味をしっかり下支えしています。
シャルドネとピノ・ノワールの双方が絡み合っている様が、
感じられるバランス加減。
より口の開いているグラスに注がれたものと比較すると、
こちらは更に香りが広がり、果実味が押し出されてきます。
さきほど感じた酸は後退し、優しくまるくなる印象です。
時間が経ってくると、より香りが開き、
うま味の複雑性が襲ってきます。
余韻も非常にしっかり長いです。
ふくよかであり、密感も豊かでありながら、
変な重たさがなく上品なのは、やはり酸の存在が生きているから。
マロラクティック発酵せずに、酸を残し、
時間と共に紡がれた個性的なブドウのうま味が、
グラスの中で輝きを放ち続けます!
ゴッセのセレブリス・エクストラ・ブリュット2002。
信念に基づくワイン哲学を感じれるシャンパーニュ。
自然の力と、時の重み、人の想いを感じながら味わう逸品です!!
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
【編集後記】
シャンパーニュの味わいも、造り手によって様々ですね。
色々飲んでみると、その微妙な落としどころ、目指す先の違いに気づきますね。
自分の目指すところ、ぶれないようにしたいものです。
【昨日の一日一新】
・みどりの券売機