決算書、利益の確認だけになっていませんか?
B/Sまで読み込む流れをつかみましょう。
P/Lは1年間の結果、B/Sは期末時点の状態
P/L(損益計算書)は文字通り、会社の損益を確認する財務諸表です。
では、この損益がいつのものかというと、事業年度の期間(通常は1年間)の数値になります。ですので、P/Lには『自 平成○○年○月○日 至 平成○○年○月○日』と期間が明示されています。
一方、B/S(貸借対照表)は、会社の資産・負債・純資産の状況が記載されています。
P/Lと異なるのは、期間ではなく時点での数値だというところです。
B/Sには事業年度末日の日付が『平成○○年○月○日 現在』と記載されることになります。
ここで重要になるのが、B/Sの純資産です。
期末時点の数値が並ぶB/Sですが、純資産の部の「利益剰余金」の数値は、設立時点~現時点まで、会社がいくら儲けたのかが出ている場所だからです。
例えば、平成25年4月1日に設立した会社と設定すると、平成28年3月期は第3期になります。
利益剰余金の300の中身は、第1期から第3期までの儲けの累計になります。
1期目:▲40
2期目: 100
3期目: 240
設立からの各期間の損益(プラスもマイナスも)が累積され、利益剰余金300と集約されることになるわけです。
2期比較で確認してみよう
決算書を見るとき、単年度の数字だけだと会社の動きが一面的にしか分かりません。
2期比較の決算書で確認する癖をつけることにより、会社の動きが見えてきます。
まずはP/Lです。
ほぼどの項目も増加していますが、売上が増加しているのは目に見えて良い点ですね。
また、粗利率(30%→36.6%)が改善しています。新たに粗利のよい商材を導入したり、
仕入れルートを変更してみたりなど、粗利率の改善の理由は押さえておくべきポイントでしょう。
経費についても、売上の伸びとともに増加していますが、人件費が倍増していますね。
販路の開拓に合わせて人材を新たに雇用した等、固定費としての主要項目である人件費の増減はチェックしておきたいところです。
交際費の増加なども売上にしっかり貢献しているのか、それとも無駄な支出が多かったのかなど、しっかり分析する必要があるでしょう。
営業利益は2.5倍程に増加、売上高対営業利益率も10%を達成し、しっかりと本業が成長している様がうかがえます。
次にB/Sです。
平成28年3月期で増加した利益剰余金240。その中身を分析する必要があります。
まず注目しないといけないのは現金・預金ですね。250の増加としっかり利益通り増えていますので良い状況といえるでしょう。
仮に、流動資産の内訳が、現預金の増減がなく(550)、売掛金が140増の(200)、棚卸資産が180増の(300)場合を考えてみましょう。
利益剰余金の増加の原因が、売掛金の増加、棚卸資産の増加によりもたらされていることになります。売掛金の増加は全て回収できれば良いですが、もしかしたら回収不能に陥っているものがあるかもしれません。棚卸資産の増加は不良在庫の山になっていないか、確認する必要があります。
固定資産はどうでしょうか。
器具備品、車両が増加しています。車両等の購入等により、営業活動が効率良くスムーズに行われていたりするかもしれません。
しかし、固定資産の取得には資金が必要です。現預金が減っていないので、分割で購入しているか、融資を受けている可能性があります。
次に負債の部に目を向けてみましょう。
固定負債のところには、新規の資金調達として、長期借入金が増加していることが確認できますね。資産の取得のために資金調達していることが分かります。
B/SとP/Lの繋がりを意識すれば、会社の動きが見えてくる
このように、P/Lで出た利益(損失)が、B/Sでどの様な状態で、どこに現れているのか?
現預金の増減及び残高は最も確認しなければならない部分ですし、資金調達の柱の長期借入金の残高の状況は、今後の資金調達にも絡めて注視しておかなければなりません。
不良債権、不良在庫・・・、会社の足跡が決算書に、特にB/Sにははしっかり刻み込まれています。
稼いだお金を無駄な投資、消費に回していないか?
利益をあげるために今ある資産をどのように運用、活用していくか?
資金調達したお金をいかに有効に生かしていくか?
P/Lでの損益の確認に加え、B/Sの状況を把握し、会社がどの様な経緯で今の状況になっているのかをしっかり確認してください。
そうすることによって、より適切な一歩が歩めるのではないかと思います。
P/Lの売上と利益しか見ない決算書の見方、そろそろ卒業しましょうね。
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【編集後記】
オリンピックも後半戦。
ついつい気になって、TV,ネットで確認しちゃいます。
【昨日の一日一新】
・プリングルス クラッシュドブラックペッパー