誤って納めすぎていた場合には、
更正の請求をすることで、過大納付分の還付が受けられます。
更正の請求
確定申告のこの時期、今年度分の作成をしていれば、
必ず前年度分との比較は行うかと思います。
そんな時に、前年度の申告で、経費や控除の漏れにより、
前年度の税額が過大であることが判明する時があります。
誤って納め過ぎた税金、返してほしいですよね。
そんな時に行う手続きが、更正の請求です。
更正の請求は、法定申告期限から5年以内に提出する必要があります。
以前は、更正の請求の期限は法定申告期限から1年以内でしたが、
平成23年度の税制改正により、平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する
国税については、法定申告期限から5年に期間が延長されました。
例えば、今年度分(平成28年度)で見てみましょう。
・平成28年度…確定申告期限:平成29年3月15日、更正の請求期限:平成34年3月15日
逆に、今年の確定申告の期限である平成29年3月15日に、更正の請求の期限がくるのは、
何年分の申告でしょうか?
・平成23年度…確定申告期限:平成24年3月15日、更正の請求期限:平成29年3月15日
平成23年分の申告についての更正の請求は、この3月15日が期限です。
該当するものがあれば、もれなく手続きするようにしましょう。
更正の請求ができるもの、できないもの
提出期限も延長され、使い勝手のよくなった更正の請求ですが、
どんな申告でも訂正できるわけではありません。
更正の請求が可能なのは、「その申告書に記載した金額の計算が、
税法の定めるところに従っていなかったり、その計算に誤りがある場合」です。
所得税の確定申告の場合の例示を、いくつかあげてみます。
・事業所得等で必要経費の12月分の計上漏れが判明した。
・社会保険料控除で、国民年金の控除をし忘れていた。
・16歳以上の扶養親族がいるにもかかわらず、扶養控除を失念していた。
・住宅ローン控除の控除額計算上、残高証明書の不足分があり控除が過少であった。
このような場合には、更正の請求書に「更正の請求をする理由と請求をするに至った事情」
を記載し請求額の計算書を作成すると共に、「事実を証明する書類」を添付することにより、
更正の請求が受け付けられます。
ただし、次のような場合には更正の請求はできません。
例えば、配当所得を総合課税で確定申告していたが、
申告不要が可能であることが分かり、その方が税額が過少であった場合。
このような場合には、当初の配当所得の申告が、税法の定めるところに従っていなかったわけでもなく、その計算に誤りもないので、当初の申告は正しいことになります。
複数の選択肢があり、その選択により確定申告額が不利になっていたとしても、
そのような場合には、更正の請求の対象にはなりません。
なお、以前は当初申告要件が必要であったものや、
控除額等について当初の申告書記載額のみ控除可能の規定がありました。
しかし、平成23年度の税制改正により、
当初申告要件が廃止され、控除額の制限も見直されています。
国税庁の下記のページで確認が可能です。
税額が増えてしまう場合には、修正申告
更正の請求とは反対に、売上の漏れがあったり、経費が過大であったりで、
当初の申告納税額が過少又は当初の還付額が過大であることが判明した場合には、
修正申告が可能です。
修正申告は、税務調査等があり間違いを指摘された場合にも提出しますが、
誤り等に気づき自ら修正申告することができます。
通常、税務調査等で修正申告する場合には、過少申告加算税及び延滞税がかかります。
しかし、自主的に修正申告した場合には過少申告加算税はかかりません。
ただし、税務署の調査の通知があった後修正申告する場合は、過少申告加算税がかかってきます。下記の区分により率が異なります。
<税務署の調査通知を受けて修正申告をした場合で、調査による更正や決定を予知してされたものでない場合(平成29年1月1日以後に法定申告期限が到来するもの>
⇒過少申告加算税5%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分は10%)
※期限後申告の場合は、無申告加算税10%(税額が50万を超える部分は15%)
<税務調査に基づいて修正申告を提出した場合>
⇒過少申告加算税10%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分は15%)
※期限後申告の場合は、無申告加算税15%(税額が50万を超える部分は20%)
また、延滞税は延滞利息的な罰則です。計算方法は次のとおりです。
追徴税額(1万円未満の端数切捨)×延滞税の割合(※)×完納までの日数(※)/365日
(※)延滞税の割合…修正申告書を提出した日の翌日から2月を経過する日までは、「年7.3%」と「特例基準割合+1%」のいずれか低い割合(平成29年分については2.7%)
修正申告書を提出した日の翌日から2月を経過した日以後は、「年14.6%」と「特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合(平成29年分については、9.0%)
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【編集後記】
比較してみて初めて気が付くことって、結構ありますよね。
確定申告が終わっているからといって、あきらめてはいけません。
過年度に納めすぎが判明した場合には、
納税者の権利である更正の請求により、過大税額は還付してもらいましょうね。
【週末の一日一新】
・旬菜 西むら
・グラン・じゃがビー フロマージュ味
・山方永寿堂 岡山名物きびだんご