10%への増税は、2年半先送りになった消費税。
2年間の免税制度、ご存知の方も多いでしょう。
改正も踏まえたその要件、再度確認してみましょう。
消費税、そもそも納めなきゃいけないのはどんな人?
消費税、みなさんスーパーなどでモノを買うときに払ってますよね。
本体価格1,000円の商品の場合、80円の消費税とともに1,080円といった具合に。
でも、一般消費者は国に対して消費税の申告もしませんし、納税もしません。
みなさんが消費税を支払う相手は、事業をおこなっている「法人」や「個人事業主」に対してです。
そうです、消費税は、法人や個人事業主である事業者に課せられることになります。
では、基本的な消費税の仕組みについて簡単に確認してみましょう。
事業者は、一般消費者から販売する商品代金(1,000円)を受け取る(=売上)と同時に、消費税(80円)を預かります(=仮受消費税)。この80円は事業者の売上ではなく、単に消費者から預かっているだけなので、当然この80円を国に納めなければなりません。
ただし、事業者は通常、消費税を預かるただけではありません。売上を上げるための商品を、他の事業者から仕入れることになります。その時に、商品の仕入代金(800円)を支払う(=仕入)と同時に、消費税(64円)を他の事業者に支払います(=仮払消費税)。
その結果、事業者は預かった消費税から支払った消費税の差額を国に支払うことになります。
・預かった消費税80円ー支払った消費税64円=16円
これが、消費税の基本的な考え方です。
免税事業者の要件とは?
事業者は、もともと納税義務があるわけですが、一定の要件に該当すれば免税事業者になります。要件を見ていきましょう。
基準期間における課税売上高が1,000万円以下
基準期間とは、法人であればその事業年度の前々事業年度、個人事業主であればその年の2年前の年のことをいいます。
法人であれば設立1期目、2期目は基準期間がありません。つまりは”基準期間における課税売上高が0”ということですので、1期目、2期目とも”原則”免税事業者となります。
3期目は1期目の課税売上高が1,000万円以下ならば免税事業者、1,000万円超ならば課税事業者となります。
個人事業主は事業年度という概念がないので”年”で判定します。平成27年に開業した人は、平成27年と平成28年は基準期間がありません。よってこの両年は免税事業者となります。
平成29年は平成27年の課税売上高が1,000万円以下ならば免税事業者、1,000万円超ならば課税事業者となります。
法人は期首の資本金の額に注意
法人の場合、期首の資本金の額が1,000万円以上である場合、免税事業者の規定が適用されないという要件があります。上記で『”原則”免税事業者となります』と記載したのはこのためです。
ですので、新たに法人を設立する場合は、資本金の額は1,000万未満としておきましょう。
もちろん、ビジネスの上で資本金の額がどうしても1,000万円以上必要な場合は別ですが。
(※消費税とは関係ありませんが、法人住民税の均等割についても資本金の額により、税負担が変わってきます。キリが良いという理由だけで、安易に資本金を1,000万円にするのはおススメしません。)
特定期間の課税売上高等(※)も1,000万円以下
この要件は平成23年6月の改正により、新たに付け加えられた要件です。
平成25年1月1日以後開始する事業年度又は年については、上記の要件に該当していたとしても、特定期間の課税売上高等(※)が1,000万円を超える場合には、その課税期間は免税事業者になりません。
特定期間とは、法人であればその事業年度の前事業年度の上半期、個人事業主であればその年の前年の1/1~6/30までの期間のことをいいます。
わかりやすいケースで話すと、法人の2期目、個人事業主の2年目に注意が必要です。
2期目、2年目は”基準期間における課税売上高”はありませんが、”特定期間(1期目又は1年目の上半期)”には課税売上高が発生しているでしょう。この金額が6カ月で1,000万円を超えるかどうかで、免税か課税かが変わってくるということです。
ここで、この特定期間の課税売上高等(※)としているのは、この課税売上高に代えて給与等の支払額で判定してもよいことになっています。通常は、売上高よりも給与等の支払額の方が少ないはずですので、この金額が1,000万円を超える場合には、2期目、2年目が課税事業者になりますので、注意が必要です。
開業のタイミング、決算期の設定によって納税額が変わることも
免税事業者の要件は、大まかに上記のとおりですが、細かな部分で納税額に影響が出ることもあります。
個人事業主の開業のタイミング
個人事業主は基準期間における課税売上高の判定を年ベースで行います。
1年目の課税売上高が、3年目に影響を及ぼすことになります。
月商100万円の個人事業主の場合、1年目の開業を年の前半に持ってくると、
3年目が課税事業者になる可能性が高くなります。
しかし、年の後半に開業すれば、1年目の課税売上高を1,000万円以下にできるため、3年目も免税事業者の恩恵を受けることができます。
法人の決算期の決定
法人は、設立の時期は、上記の個人の様な計算とは異なりますので注意が必要です。
月商100万円、3月決算法人の場合で考えてみます。
個人と同じ様に考えると、例えば12月に設立した場合、1期目の課税売上高は@100万円×4カ月=400万円になりますので、3期目が免税になると思うかも知れません。
しかし、法人の場合は基準期間が1年に満たない場合は、1年相当に換算して算出するという規定があります。400万×12カ月/4カ月=1200万円>1,000万円
したがって、設立の時期をずらしても個人の時の様な恩恵は受けられません。
その一方、決算期をいつにするかによって、免税期間が短く不利になる場合があります。
A社:月商100万、資本金500万、12月設立で3月決算法人
B社:月商100万、資本金500万、12月設立で11月決算法人
この二社を比べてみましょう。
A社、B社共に1期目、2期目は基準期間がないため免税事業者です(特定期間の給与等の支払額が1,000万円以下とします)。そして3期目は共に課税事業者です。どちらも変わらない様に見えますが、免税事業者である期間(月数)が異なります。
A社の免税期間:1期目(6カ月)+2期目(12カ月)=18カ月
B社の免税期間:1期目(12カ月)+2期目(12カ月)=24カ月
A社は免税期間が6カ月少ないことがわかりますね。
法人は3月決算が多いから等の理由で適当に決算期を決めてしまうと、思わぬ不利になり税負担が増える場合があります。
設立1期目が1年間になるように決算期を決定しましょう。
消費税は、これら以外にも思わぬところで税負担に差がついてしまうことがあります。
慎重に検討しましょう!!
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【編集後記】
イチロー選手、メジャー通算3000本安打達成しましたね!!
感極まった姿、とても印象深かったです。おめでとうございます!!
【昨日の一日一新】
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