ランプのエチケットがかわいらしいこのワインは、イスラエルのもの。
普段あまり馴染みのないイスラエルワイン、調べてみました。
イスラエルのワインの歴史
ワインといえば、旧世界のフランス、イタリア、スペイン、ドイツ、新世界でもアメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、チリ、アルゼンチン辺りが有名どころでしょうか。
なかなかイスラエルのワイン、お目にかかることはありませんよね。
ただ、ワインの発祥の地と言われているのがグルジア(ジョージア)のあたり。
黒海、カスピ海、ガリラヤ湖(ティベリアス湖)が形成するデルタ地帯の内側でワイン造りが始まったとも言われており、ガリラヤ湖がイスラエル北部の湖ですから、
イスラエルでも古くからワイン造りが盛んであったようです。
紀元前1800年頃には「水よりも多いワイン量のワインを生むブドウ畑祝福された土地」との記載もあるように、造られたワインの人気も高くローマ帝国各地に輸出されていたとのこと。
ローマ帝国がエルサレム神殿を破壊するまでは、ワインはイスラエルにとって重要な輸出品であったようですが、7世紀にイスラム教徒の支配下に入ったことにより、ワイン造りは禁止されてしまいます。
その後、本格的ワインの生産が再開されたのは19世紀の後半。1882年にシャトー・ラフィットのオーナー、エドモンド・ド・ロスチャイルドが、カルメル・ワイナリーの基となるワイナリーを設立。ユダヤ人によるワイン造りを積極的に援助したことにより動き始めていきます。
ただ、当時は高品質ワインの醸造ではなく、ユダヤ教徒が飲むことのできるコシャーワイン(ユダヤ教の戒律に従った造られたワイン)という甘口のワインの醸造が主なものだったようです。
転換点となったのは1972年。カリフォルニア大学デイビス校の醸造学教授、コルネリウス・オウフ氏がイスラエルを訪れ、その調査によってゴラン高原が高品質ワインに適した気候と土壌を持った産地であることを指摘します。1976年にはゴラン高原に最初の樹が植えられ、1983年にはゴラン・ハイツ・ワイナリーが設立されることになります。
その後、ゴラン・ハイツ・ワイナリーの成功に刺激を受けた若い醸造家達が、小さなワイナリーを次々に設立。1980年代末~1990年代にかけてブティック・ワイナリーブームが沸き起こります。
現在は、カルメル、バルカン、ゴラン・ハイツの3大生産者で市場の半数を超えるシェアを持ちながらも、ブティック・ワイナリーの増加で、生産者の数は300を超えると言われています。
ゴラン・ハイツ・ワイナリー
設立は1983年。ゴラン高原にある小さな町カツリンにその居を構えています。
比較的新しいワイナリーですが、最先端を行く科学技術と伝統的な醸造法を組み合わることにより、高品質なワインを数多く生み出しています。
ワイン・エンスージアスト誌の2012年のワインスターアワードでは、新世界のベストワイナリーに選ばれています。この賞は、この時イスラエルのワイナリーに初めて与えられたものでした。
ゴラン高原は、主に火山灰が降り積もった土壌で、水はけに優れています。気候は比較的涼しく、年間降水量のほとんどが冬に集中するため、乾燥する夏には灌漑により水が供給されます。これら様々な自然条件や計画的な造園により、この地がワイン醸造用に最適な土地となりました。
ゴラン高原は小さな土地ですが、様々な標高の位置に素晴らしい畑があることから、その標高差800kmを緯度で換算すると、フランスの最北部~最南部程の違いになります。
この違いによって、地中海性気候に属しながらも、様々な品種の生産の栽培を可能にしています。
北部ゴランには、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・ノワールなど、中部ゴランにはカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シラーなど、南部ゴランにはマスカット・カネリやマスカット・アレキサンドリアなどが栽培されています。
このゴラン・ハイツ・ワイナリーのワイン、いつぞやの世界最優秀ソムリエコンクールのブラインドテイスティングで出題されたことがあるみたいです。
「ヤルデン ピノ・ノワール 2008」が赤ワインの二つ目で出題。
(※ヤルデンとはゴラン・ハイツ・ワイナリーのブランド名で旗艦的ブランド)
最終決勝進出者3名の回答は、2名が「イタリア・ネッビオーロ・バローロ2004」と同一の回答、残りの1名は「ギリシャ・アギオルギティコ・2004」。
そりゃ、なかなかイスラエルワインとは出てきませんよねぇ。
柑橘系のアロマが爽やかな、フレッシュな味わいのワイン
で、今回のは白ワイン。
コルクはメチャクチャ短かくてちょっとビックリ。
余裕でスクリューが突き抜けてました(笑)。
色は薄めで、黄色がかっていかにもスッキリしてそうなレモンイエロー。
香りはというと、グレープフルーツ、ライム、ハーブの香りが広がり、
爽やかで涼し気です。
口に含むとイメージ通り、スッキリとした酸が心地よく、フルーティさは感じますが、
甘い感じはあまりせず、引き締まった味わいでした。
飲みこんだ後には少し苦味が舌に残るかなといった印象です。
ブドウ品種は、ソーヴィニヨン・ブラン、ヴィオニエに少量のシャルドネとセミヨンをブレンド。引き締まった味わいの奥に果実味の一旦を感じたので、大きめのグラスで開き加減を見てみました。
やはり、グラスを変えると味わいが変わりますね。
右はボルドータイプの大きめのグラスですが、香りの広がりも柔らかく、酸味もまろやかに
引き締まった感が後退しました。
ただ、苦みがより前面に出てくるようになり、ちょっと全体のバランスが崩れました。
細身のグラスで、スッキリ感の中のほのかな果実味を感じるほうが、合っていた気がします。
年に1度飲むか飲まないかといったイスラエルワインですが、こうやって調べてみるといろいろと勉強になりますね。
残暑が厳しい毎日ですから、スッキリ系白ワインはまだまだ活躍しそうです!
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
【編集後記】
今度はソムリエコンクールを真似て、ヤルデンのピノ・ノワールとバローロを飲み比べしてみるのも楽しいかなと思ったり。いつかやってみたいと思います!
【昨日の一日一新】
・京都 麺屋たけ井 阪急梅田店 味玉つけ麺